[更新日 : 2024年11月28日]
本会は2011年5月に、RPの患者・家族などを中心に10数名で旗揚げしまし
た。
徐々に会員が増え、現在、北海道から沖縄県の、男性40名、女性36名の計76名
を数えます。
私たちは、電子メールによって毎月川柳の句会を楽しんでいます。選者には、NH
K文化センター梅田教室の川柳講支で、「番傘川柳本社」でも選者
をやっておられたベテランの川柳作家にお願いしています。
皆さんも川柳をやってみませんか! 川柳に興味をお持ちの方のご参加をお待ちし
ています。川柳を学べる資料を差し上げます。
なお、入会費も会費も一切不要です。メールさえできれば、手頃で安上がりの趣味
になりますよ。
★お問合せ・お申込み先: 山本 進(堺市)
рO72−255−9007
☆本会の選者をお願いしている吉道航太郎さんとあかねさんが2012年4月に、私
家版の川柳句集『すぷりんぐ』を上梓されました。メール版を
RP−net川柳会の会員に差し上げています。
RP−net川柳会「川柳 もやい傘」[今月の課題]のページへ。
[今月の秀句](2024年)
■12月
題:「温もり」 (進 選)
(人の句) あほやなあ母の言葉にある温み 大阪府 谷口良三
(地の句) 豚まんの湯気ホッコリと冬が来る 大阪府 高里道子
(天の句) ひとり寝の毛布くるまり繭になる 兵庫県 浅田美登里
題:「ハッピー」 (由希子 選)
(人の句) 新幹線僕の隣に美女座る 大阪府 吉田禮子
(地の句) 翔平の刻む歴史を居間で見る 埼玉県 荒金弘子
(天の句) 君のこと幸せなのか気にかかる 大阪府 杉本 茂
題:「裏」(裏表の裏) (美幸 選)
(人の句) 路地裏の喜怒哀楽を知る地蔵 福岡県 三小田静男
(地の句) 疲れなど見せず働く足の裏 大阪府 吉田禮子
(天の句) 裏金にお灸をすえた総選挙 福岡県 三小田静男
題:「裏」(裏表の裏) (テツオ 選)
(人の句) おやすみと気丈の仮面外す夜 大阪府 桂ふみこ
(地の句) 裏庭が賑わう冬の杵の音 三重県 小川明美
(天の句) 便せんに裏写りした恋の文字 宮崎県 矢野侑三
題:「うらやましいこと」(詠み込み不可) (航太郎 選)
(人の句) お隣はちょっとそこまでヨーロッパ 福岡県 小森弘
(地の句) のんびりと暮らせるだけは貯めてある 大阪府 島尾政男
(天の句) つましくも笑顔温もり絶えぬ家 福岡県 松延太郎
■11月
題:「骨」(骨格の骨) (進 選)
(人の句) 散骨はやめてよ波が怖いから 和歌山県 北口豊
(地の句) 恐竜は骨格だけで勝負する 兵庫県 上田進久
(天の句) 真実は違うと叫ぶ墓の骨 東京都 山口テツオ
題:「おいしい」 (艶子 選)
(人の句) おいしいですまずいと言えぬマスオさん 大阪府 橋本富雄
(地の句) お帰りと飯のにおいが出迎える 大阪府 桂ふみこ
(天の句) 叩いたら美味いと返事するスイカ 福岡県 三小田静男
題:「屋根」 (あせび 選)
(人の句) オーロラが彩りの屋根青い星 大阪府 伊藤茂樹
(地の句) 百舌鳥の声秋を見つけた向こう屋根 奈良県 青山明彦
(天の句) 鬼瓦だけが意地張る過疎の村 和歌山県 北口豊
題:「旬」(下旬の旬) (昌彦 選)
(人の句) 馬肥ゆる秋に私も肥えて行く 大阪府 三宅景子
(地の句) 旬見つけ財布がゆるむ道の駅 大阪府 桂ふみこ
(天の句) 手をかけず素材が生きる旬の味 埼玉県 五十嵐静子
■10月
題:「うかつ」 (進 選)
(人の句) お父さんごめん命日過ぎてたわ 兵庫県 小林香織
(地の句) 田園に住んでまさかの米探し 滋賀県 結城ゆかり
(天の句) のしかかる介護に吐いた捨て台詞 大阪府 玉利直江
題:「影」(影法師の影) (美幸 選)
(人の句) 信号待ち隣の日傘ちと借りる 埼玉県 荒金弘子
(地の句) 振り向いて負けた気がする後ろ影 京都府 堀田順一
(天の句) 影までも老いた姿でついてくる 兵庫県 浅田美登里
題:「区切る」 (静男 選)
(人の句) 性別の区切りを消した出席簿 福岡県 小森弘
(地の句) 明日からと心に誓うダイエット 大阪府 三宅景子
(天の句) 終電に今日の仮面を置いてくる 東京都 山口テツオ
題:「一か八か」(詠み込み不可) (航太郎 選)
(人の句) 立ち合いにかける小兵の変化技 福岡県 松延太郎
(地の句) 可能性ゼロではないと志望校 福岡県 小森弘
(天の句) イエスマン勇気を出して言ったノー 東京都 山口テツオ
■9月
題:「妥協」 (進 選)
(人の句) 妥協するたびに薄まる影の色 大阪府 谷口良三
(地の句) わしの子やこんなもんだと諦める 京都府 堀田順一
(天の句) プーチンさんそろそろ手打ちしませんか 兵庫県 伊藤節代
題:「戦う」 (由希子 選)
(人の句) 揚げ物と戦う夏の台所 大阪府 青田和代
(地の句) とりあえず休戦となる里帰り 宮崎県 矢野侑三
(天の句) 病経て自分に勝って今がある 大阪府 三宅景子
題:「完成」 (テツオ 選)
(人の句) 手塚さん車が空を飛んでます 大阪府 桂ふみこ
(地の句) 自分史にあとは終止符付けるだけ 兵庫県 浅田美登里
(天の句) 編みかけのセーター秋を待っている 兵庫県 中川由希子
題:「滅ぶ」 (航太郎 選)
(人の句) 滅びへのロマンのどかな古戦場 大阪府 伊藤茂樹
(地の句) 人間の欲が滅ぼすこの地球 兵庫県 守護和也
(天の句) 永遠に滅びはしないサザエさん 福岡県 三小田静男
■8月
題:「難しい」 (進 選)
(人の句) 難しい顔でイエスと決めている 京都府 堀田順一
(地の句) ハードルを敢えて上げるも老いの意地 京都府 高野末次
(天の句) 寸借を水に流せぬ喉佛 滋賀県 結城ゆかり
題:「貧しい」 (あかね 選)
(人の句) 贅沢に育っていない有難さ 大阪府 伊藤茂樹
(地の句) 貧しさもこわくなかった親がいた 大阪府 濱田康子
(天の句) 貧しくもチャブ台あった家族の和 埼玉県 五十嵐静子
題:「汁」(シジミ汁の汁) (あせび 選)
(人の句) 冷や汁は近づいたかな母の味 宮崎県 矢野侑三
(地の句) せっかちの父が愛した猫まんま 兵庫県 平井美幸
(天の句) 汁だくをかき込む朝の作業服 大阪府 玉利直江
題:「みっともない」(詠み込み不可) (航太郎 選)
(人の句) 答弁はルビ付きメモを棒読みで 福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 突然の客にどうぞと言えぬ部屋 兵庫県 山口みゆき
(天の句) 人を見て腰の高さを変える人 大阪府 中野町子
■7月
題:「時」(時間の時) (進 選)
(人の句) 旅先の時の流れは満ち足りて 兵庫県 小林香織
(地の句) 時を越え愛しさ揺らぐ影法師 大阪府 玉利直江
(天の句) 大切な時間日記に閉じ込める 大阪府 濱田康子
題:「手本」 (美幸 選)
(人の句) お手本はスマホの中に揃ってる 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 沢山の手本を抱え老いてゆく 兵庫県 平井啓一
(天の句) 我が子見てやはり手本はこの私 神奈川県 高橋尚風
題:「筆」(毛筆の筆) (艶子 選)
人の句) 鉄筆が待ちわびている総選挙 神奈川県 池田あせび
(地の句) ありがとう色紙に残し逝った母 兵庫県 南 美千代
(天の句) お習字の帰りと顔に書いてある 東京都 安藤幸雄
題:「筆」(毛筆の筆) (静男 選)
(人の句) 日記帳遺言書いて筆を置く 大阪府 橋本富雄
(地の句) 淋しさをやんわり隠す化粧筆 京都府 高野末次
(天の句) さりげなく一筆添えて出す賀状 石河県 吉田登輝夫
題:「パン」 (航太郎 選)
(人の句) パンのみに生きていましたあの頃は 石河県 吉田登輝夫
(地の句) 天才だパンにあんこを入れた人 兵庫県 守護和也
(天の句) しあわせの匂いふんわりパン焼ける 兵庫県 濱田すゑ子
■6月
題:「激しい」 (進 選)
(人の句) どしゃ降りへ胸が波打つもやい傘 大阪府 田川里香
(地の句) 何気ない言葉が招く大噴火 兵庫県 山口昌彦
(天の句) スコールが別れ話を遠ざける 大阪府 玉利直江
題:「太い」 (由希子 選)
(人の句) 骨太は脱脂粉乳好きだった 東京都 小野里 進
(地の句) カタカナの造語が辞書を太らせる 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 政倫審図太さだけを炙り出す 兵庫県 山口昌彦
題:「患う」テツオ 選
(人の句) 終演の時刻を医者が予想する 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 片方の眼をやるからと母は逝き 神奈川県 池田あせび
(天の句) 点滴のポトリぽとりを聴く不安 大阪府 山本 進
題:「ジタバタ」 (航太郎 選)
(人の句) 首のしわジタバタせずに受け入れる 大阪府 嶋村幸子
(地の句) ネット社会もがきながらもついていく 兵庫県 曽余田かずよ
(天の句) 少子化をじたばたしてももう遅い 東京都 小野里 進
■5月
題:「やっと」 (進 選)
(人の句) 鉄筆が指になじんで分かち書き 神奈川県 池田あせび
(地の句) トンネルに出口があると気付いた日 兵庫県 守護和也
(天の句) ごめんねが言えた反抗期を抜けた 福岡県 廣渡憲峰
題:「肉」(筋肉の肉) (艶子 選)
(人の句) 肉牛は被曝したので生き続け 兵庫県 上田進久
(地の句) 清く正しく肉付けされていく自伝 兵庫県 山口昌彦
(天の句) たっぷりの朱肉決意にぶれはない 兵庫県 山口昌彦
題:「器」(容器の器)(あせび 選)
(人の句) 身にあった器に生きて幸を得る 大阪府 熊内茂生
(地の句) 器だけ返すか迷うおすそ分け 東京都 小野里 進
(天の句) 大きめの茶碗夫の尻叩く 京都府 堀田順一
題:「勝る」 (航太郎 選)
(人の句) 味よりも店主のキャラが勝る店 東京都 山口テツオ
(地の句) 調停役諭吉に勝る者はない 大阪府 谷口良三
(天の句) 親指に勝るマッサージ機はない 和歌山県 北口 豊
■4月
題:「島」(淡路島の島) (進 選)
(人の句) 鍵なんて掛けた事ない島育ち 京都府 榎本剛
(地の句) いつまでも待つと言ってる母の島 大阪府 福良 満
(天の句) いい鬼もきっといたはず鬼ヶ島 京都府 高野末次
題:「低い」 (美幸 選)
(人の句) テノールよバスにはバスの自負がある 大阪府 山本 進
(地の句) 孫の口届く高さで聞く内緒 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) ノーズシャドウ朝から画家になる私 兵庫県 南 美千代
題:「掘る」(発掘の掘る) (静男 選)
(人の句) 子を褒めて秘めた力を掘り起こす 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 特売の掘り出し物にご満悦 福岡県 松延太郎
(天の句) 掘り出した土器が太古を語り出す 兵庫県 山口昌彦
題:「地面」 (航太郎 選)
(人の句) 何だったか更地眺めて首傾げ 埼玉県 荒金弘子
(地の句) 月の夜の影踏みよぎる父の通夜 兵庫県 平井美幸
(天の句) 地を割って春の息吹がダッシュする 大阪府 吉田禮子
■3月
題:「ボール」 (進 選)
(人の句) 大谷の一球が我が年収か 兵庫県 守護和也
(地の句) 五十年受け止めてきたあばれ球 大阪府 堀切艶子
(天の句) 紳士協定ビーンボールは投げません 大阪府 谷口良三
題:「嫁」(嫁姑の嫁) (由希子 選)
(人の句) さしすせそ花嫁修業済んだのに 福岡県 三小田静男
(地の句) 里帰り羽を伸ばして子に戻る大阪府 青田和代
(天の句) 兄嫁に世話をかけてるふるさとは大阪府 嶋村幸子
題:「辞書」 (テツオ 選)
(人の句) 辞書にない心の文字のラブレター 鹿児島県 下小牧真理子
(地の句) 感動は言葉の森で出会う未知 福岡県 小森 弘
(天の句) 六法の1ページ目に父のメモ 兵庫県 小林香織
題:「首」 (航太郎 選)
(人の句) 迷い道確かここだと首捻る 三重県 小川正次
(地の句) お隣に異変キリンの首になる 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 何にでも突っ込む首が忙しい 埼玉県 五十嵐静子
■2月
第150回記念誌上川柳大会 (参加者 92名)
題:「重ねる」 柴田桂子 選 (堺番傘川柳会)
(人の句) 無為徒食齢重ねて歯は丈夫 大阪府 岸井房恵
(地の句) 赤ちゃんが笑って僕も笑います 兵庫県 田吹宗鉄
(天の句) 薬手帳もう何冊になるだろう 大阪府 銭谷まさひろ
題:「長生き」 澤井敏治 選 (川柳塔さかい)
(人の句) ゆずり葉の心が少し分かり出す 大阪府 柴田桂子
(地の句) 困ったなあ生命線がまた伸びる 福岡県 三小田静男
(天の句) 大往生畳一畳あればよい 大阪府 山本 進
題:「懸命」 内藤憲彦 選 (川柳塔さかい)
(人の句) 懸命にたすきをつなぐ箱根坂 大阪府 青田和代
(地の句) 懸命な救助が命つなぐ能登 兵庫県 曽余田かずよ
(天の句) 散るまでは一生懸命咲いてゆく 大阪府 吉道あかね
題:「悔しい」 銭谷まさひろ 選(番傘川柳本社)
(人の句) 瘤くらい泣いてたまるか探り杖 滋賀県 結城ゆかり
(地の句) 戦争の傍観者だよ悔しいよ 沖縄県 田中愛子
(天の句) 二兎追って空っぽの手が悔いている 埼玉県 五十嵐静子
題:「たまご」 居谷真理子 選 (川柳塔社)
(人の句) どうにでもしてちょうだいと溶き卵 奈良県 山田恭正
(地の句) 私のたまご大きく孵化させる 大阪府 岸井房恵
(天の句) 八十歳まだ仙人のタマゴです 鳥取県 新家完司
題:自由吟 吉道航太郎 選 (柳都川柳社)
(人の句) モナリザの笑み 解釈はご自由に 大阪府 古今堂蕉子
(地の句) 野良猫がボクサーの顔して去った 兵庫県 上田進久
(天の句) 口笛の角度が春になっている 大阪府 岸井房恵
■1月
題:「つまらない」(詠込み不可) (進 選)
(人の句) 虎の子の利息おにぎり一個分 大阪府 橋本富雄
(地の句) 飲み込んだあくびの数を数え出す 大阪府 桂ふみこ
(天の句) 目覚めたら円周率を繰り返す 和歌山県 北口 豊
題:「信じる」 (禮子 選)
(人の句) 言霊を信じて紡ぐいい言葉 兵庫県 平井美幸
(地の句) いつの日かきっと会えると拉致家族 福岡県 三小田静男
(天の句) お浄土があると信じて遍路旅 神奈川県 池田あせび
題:「質問」 (豊 選)
(人の句) 問われてもまずいと言えぬグルメルポ 東京都 小野里 進
(地の句) 質問という名のドスを突きつける 大阪府 山本 進
(天の句) 古女房主語のない問い理解する 大阪府 伊藤茂樹
題:「ラッキー」 (航太郎 選)
(人の句) 老いてなおラッキーボーイ目指してる 滋賀県 大谷忠正
(地の句) 相性の良い人と組む初仕事 大阪府 吉田禮子
(天の句) 傘マーク見事外れて富士を見る 埼玉県 荒金弘子
[今月の秀句](2023年)
■12月
題:「ぞろぞろ」 (進 選)
(人の句) 若葉マークぞろぞろ連れて峠越え 大阪府 吉田禮子
(地の句) ぞろぞろが駆け足になる開店日 宮崎県 矢野侑三
(天の句) 観劇の余韻引き摺る帰路の列 兵庫県 中川由希子
題:「熱心」 (艶子 選)
(人の句) やる気満々教える側も入る熱 埼玉県 五十嵐静子
(地の句) 熱心にあれを目指したタイガース 大阪府 中島千恵
(天の句) 頑張れと自分にハッパかけている 大阪府 中野町子
題:「雲」(積乱雲の雲) (末次 選)
(人の句) うちの孫雲の形で物語り 兵庫県 山田 明
(地の句) 雲ふわり嬉しいことに出会えそう 大阪府 吉田禮子
(天の句) 雲一つあって青空さらに青 東京都 安藤幸雄
題:「ピン」 (航太郎 選)
(人の句) ピンと張る孫のお肌に嫉妬する 大阪府 青田和代
(地の句) ピンと立つ兄の背中に父をみた 兵庫県 高瀬静嗣
(天の句) ピン留めを外して今日の疲れ取る 福岡県 廣渡憲峰
■11月
題:「ぴったり」 (進 選)
(人の句) 戦の影ぴたりと付いて離れない 神奈川県 高橋尚風
(地の句) 相性が良過ぎて少し退屈で 京都府 高野末次
(天の句) 伴走と息もぴったり風になる 兵庫県 中川由希子
題:「安い」 (美幸 選)
(人の句) 値切ってもあかんと赤札が吠る 大阪府 山本 進
(地の句) 安請け合いしては身銭を切る羽目に 京都府 高野末次
(天の句) 日本が安い値段で売られてる 東京都 山口テツオ
題:「預ける」 (憲峰 選)
(人の句) 国連に預けた下駄は何処へやら 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 終電の揺れに疲れた身を預け 福岡県 三小田静男
(天の句) 託された付け文で知る恋敵 東京都 安藤幸雄
題:「お茶」 (航太郎 選)
(人の句) 麦茶から緑茶にかえる秋の風 福岡県 三小田静男
(地の句) 同居してお茶漬け欲しい老夫婦 埼玉県 五十嵐静子
(天の句) 爆撃のニュースに凍り付く茶の間 兵庫県 山口昌彦
■10月
題:「嫌」(嫌い) (進 選)
(人の句) 石段が憎い仏に罪はない 東京都 安藤幸雄
(地の句) あの世まで一緒にいたくありません 大阪府 島尾政男
(天の句) 五十年目をつぶってる嫌なとこ 大阪府 堀切艶子
題:「無邪気」 (禮子 選)
(人の句) 指立てて目を輝かせトンボ待つ 兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) 九条があれば平和という無邪気 大阪府 山本 進
(天の句) 苦労など無かったように母笑う 埼玉県 荒金弘子
題:「敬う」 (豊 選)
(人の句) 蟷螂の斧よ無謀だあっぱれだ 大阪府 山本 進
(地の句) 母が逝き故郷遠く吾亦紅 神奈川県 池田あせび
(天の句) 検体に兄の名を書く夜明け前 大阪府 玉利直江
題:「勘違い」 (航太郎 選)
(人の句) 勘違いさせてなんぼの北新地 大阪府 玉利直江
(地の句) おべんちゃら真に受けマイク離さない 大阪府 濱田康子
(天の句) 赤じゅうたん踏めば天狗の鼻になる 大阪府 山本 進
■9月
題:「気になること」(詠込み不可) (進 選)
(人の句) これ孫よ頭触るな毛が抜ける 三重県 小川正次
(地の句) 飢えている子がいる国の防衛費 東京都 山口テツオ
(天の句) 借金が孫の背中に乗っている 大阪府 濱田康子
題:「投げる」 (艶子 選)
(人の句) 勝負球妻はたやすく打ち返す 兵庫県 山口昌彦
(地の句) ぬるま湯の世間に石を投げてみる 大阪府 島尾政男
(天の句) 正論を投げて孤独の海にいる 大阪府 吉田禮子
題:「まとめる」 (末次 選)
(人の句) 五個以上送料なしに乗せられる 兵庫県 平井美幸
(地の句) 一部屋へ家族まとめる電気代 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 縁談をまとめ爺ちゃん恵比須顔 和歌山県 笹川武司
題:「まとめる」 (中川由希子 選)
(人の句) 亡き人の会派に集い背比べ 兵庫県 上田進久
(地の句) 蝉の声ピタリと止まる名指揮者 兵庫県 高瀬静嗣
(天の句) 五個以上送料なしに乗せられる 兵庫県 平井美幸
題:自由吟 (航太郎 選)
(人の句) 吹き出しを吐いて無言の喫煙所 東京都 山口テツオ
(地の句) 還暦を過ぎても柳にはなれず 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 象は鼻高く差し上げ風を読む 和歌山県 北口 豊
■8月
題:「病院」 (進 選)
(人の句) 寂しくてナースコールを押してみる 京都府 榎本剛
(地の句) 大安も仏滅もない手術室 福岡県 三小田静男
(天の句) 病窓に帰心つのらす遠花火 滋賀県 結城ゆかり
題:「立つ」(立上がるの立つ) (美幸 選)
(人の句) 立ち阻む癌細胞のしたたかさ 兵庫県 平井啓一
(地の句) コンサート余韻残して席を立つ 兵庫県 山口みゆき
(天の句) 前にいる君の香りが波立てる 兵庫県 高瀬静嗣
題:「汗」 (憲峰 選)
(人の句) お疲れ様の汗を流したシャワー室 大阪府 島尾政男
(地の句) 冷や汗のもみじマークが煽られる 埼玉県 五十嵐静子
(天の句) 乾杯で花嫁の名が出てこない 宮崎県 矢野侑三
題:「出口」 (敏治 選)
(人の句) 毎日が出口見えないラビリンス 和歌山県 北口 豊
(地の句) 闘病のかすかな光さす出口 大阪府 玉利直江
(天の句) 予め逃げ場作って叱る母 宮崎県 矢野侑三
■7月
題:「毎日」 (進 選)
(人の句) 毎日が駆け抜けて行く老いの日々 宮崎県 矢野侑三
(地の句) 胎動に日ごと深まる愛おしさ 大阪府 三宅景子
(天の句) 通勤電車いつもの顔と揺れている 東京都 山口テツオ
題:「積もる」 (禮子 選)
(人の句) 言うてもた積もり積もったこの怒り 兵庫県 村上守
(地の句) 仏壇の埃に詫びる里帰り 大阪府 玉利直江
(天の句) 下積みの苦労が実る馬の脚 福岡県 三小田静男
題:「触る」 (豊 選)
(人の句) お宝に指紋を付ける鑑定士 東京都 山口テツオ
(地の句) DNA二重螺旋を触り知る 兵庫県 伊藤節代
(天の句) 指先にルイブライユが躍り出る 大阪府 山本 進
題:「だんだん」(詠込み不可) (航太郎 選)
(人の句) 今更にじわじわと効く師の教え 大阪府 吉田禮子
(地の句) 葬儀終え日毎寂しさ増してくる 兵庫県 平井美幸
(天の句) リハビリの成果が見える身のこなし 東京都 小野里 進
■6月
題:「冒険」 (進 選)
(人の句) 冒険のついでお使い頼まれる 東京都 山口テツオ
(地の句) 赤ん坊未知の世界を這い回る 福岡県 松延太郎
(天の句) この角を曲がればどこへ行くのやら 兵庫県 高瀬静嗣
題:「ウソ」 (艶子 選)
(人の句) 口元に餡をつけても喰ってない 東京都 安藤幸雄
(地の句) 真っ赤よりグレーのウソに泣かされる 兵庫県 平井美幸
(天の句) 直ぐばれるウソも愛しい人と居る 沖縄県 田中愛子
題:「乱暴」 (末次 選)
(人の句) 反抗期母は笑ってやり過ごす 兵庫県 山口みゆき
(地の句) 良かったねあのヤンキーが祖母の世話 大阪府 岩城豊恵
(天の句) つついたり押しては駄目と桃の声 埼玉県 五十嵐静子
題:「しぶとい」 (航太郎 選)
(人の句) 出たはずの足が踏ん張る徳俵 京都府 堀田順一
(地の句) 癖っ毛に今朝も手こずるドライヤー 埼玉県 五十嵐静子
(天の句) 幸運の女神微笑ませた粘り 兵庫県 山口昌彦
■5月
題:「腹」 (進 選)
(人の句) あの頃はツクシつばなも腹の足し 宮崎県 矢野侑三
(地の句) 胎動に父の自覚を持たされる 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 腹の肉切れば二キロはあるだろう 宮崎県 高田澄代
題:「財布」 (美幸 選)
(人の句) 里帰り財布持たずに来る娘 大阪府 堀切艶子
(地の句) 赤い糸堅い財布の紐となり 福岡県 廣渡憲峰
(天の句) 財布から諭吉連れ出すガス電気 神奈川県 高橋尚風
題:「暇」(憲 峰選)
(人の句) 断捨離は暇な時ねと二年経ち 神奈川県 高橋尚風
(地の句) 糸垂らし暇な時間が釣れている 東京都 山口テツオ
(天の句) 持て余す時間怖くて予定入れ 兵庫県 中川由希子
題:「きっちり」(詠込み不可) (航太郎 選)
(人の句) 何事もグレーゾーンがいるんだよ 兵庫県 守護和也
(地の句) ルーズでも三食だけは欠かさない 兵庫県 中川由希子
(天の句) 一円も負けてはくれぬ支払機 京都府 堀田順一
■4月
課題:「しまった!」(詠込み不可) (進 選)
(人の句) 激辛のしし唐確かめずパクリ 埼玉県 五十嵐静子
(地の句) 鳴り響く火災警報わたしです 大阪府 中野町子
(天の句) あらららら右と左は違う靴 兵庫県 濱田すゑ子
課題:「人形」 (禮子 選)
(人の句) メカ音痴だとロボットに見抜かれる 京都府 高野末次
(地の句) 子ら笑顔トントコトンと紙相撲 和歌山県 笹川武司
(天の句) 文楽を語る人形躍り出す 大阪府 島尾政男
課題:「人形」 (松延太郎 選)
(人の句) 人形のオムツを替えるオムツの子 兵庫県 中川由希子
(地の句) 夢心地新郎新婦雛飾り 兵庫県 浅田美登里
(天の句) 人形になって気楽に生きている 兵庫県 山口昌彦
課題:「童謡」 (豊 選)
(人の句) かごめかごめ夜明けの晩のミステリー 兵庫県 平井美幸
(地の句) 童謡が青を知らせる交差点 兵庫県 曽余田かずよ
(天の句) ふるさとを子宮で聞いた日の記憶 大阪府 山本 進
課題:「タブー」 (航太郎 選)
(人の句) 貝になり過去を語らぬ元兵士 福岡県 小森 弘
(地の句) 権力のタブーに挑む記者の意地 福岡県 松延太郎
(天の句) 新人にそっと教える社のタブー 兵庫県 山口昌彦
■3月
題:「迷惑」 (進 選)
(人の句) まだ当分生きていそうだよろしくな 京都府 高野末次
(地の句) 街は今目立ちたがりのおもちゃ箱 東京都 山口テツオ
(天の句) 居心地のいい散らかりが片される 東京都 安藤幸雄
題:「娘」 (艶子 選)
(人の句) よろしくどうぞ手塩にかけた娘です 大阪府 北村芳昭
(地の句) 娘との距離は風呂から始まった 大阪府 北村芳昭
(天の句) これでもね昔は娘だったのよ 大阪府 日本松啓二
題:「都合」 (末次選)
(人の句) 赤ちょうちんの前で運よく雨になる 大阪府 山本 進
(地の句) 年齢は都合次第で四捨五入 福岡県 廣渡憲峰
(天の句) 忙しい人ほど都合付けて来る 兵庫県 中川由希子
題:「学校」 (憲彦 選)
(人の句) 少子化で学舎今はカフェになる 大阪府 青田和代
(地の句) 卒業式マスクなしでは恥ずかしい 兵庫県 山口みゆき
(天の句) 無名でも誇り持ってる我が母校 福岡県 小森 弘
■2月
題:「芽」(発芽の芽) (進 選)
(人の句) 努力した結果が出たね芽が出たね 大阪府 杉本 茂
(地の句) 理不尽に愛国心が発芽する 神奈川県 池田あせび
(天の句) 良い予感梅の芽吹きが勢いが 大阪府 加口久美子
題:「健やか」 (美幸 選)
(人の句) 牧師との誓い守って共白髪 兵庫県 山口みゆき
(地の句) 腹を蹴るいのち愛しい母の海 大阪府 山本 進
(天の句) 息災に不治の病を飼っている 大阪府 山本 進
題:「夜明け」 (憲峰 選)
(人の句) 我が家では子の合格が夜明けです 東京都 安藤幸雄
(地の句) 夜明け前今日の段取り枕上で 大阪府 伊藤茂樹
(天の句) 窓白むころ平熱にママ安堵 埼玉県 五十嵐静子
題:「休憩」 (航太郎 選)
(人の句) コーヒーブレイク頭に風を入れましょう 大阪府 山本 進
(地の句) 踊り場があって階段上りきる 埼玉県 五十嵐静子
(天の句) 自分史のしおりはどこにはさもうか 東京都 山口テツオ
■1月
題:「十二月」 (航太郎 選)
(人の句) ポチ袋だけは大きめ買いました 兵庫県 中川由希子
(地の句) 十二月待ってたように寒くなる 宮崎県 高田澄代
(天の句) 無い袖を振って見せます十二月 沖縄県 田中愛子
題:「日用品」(詠込み不可) (かずよ 選)
(人の句) 新しい歯ブラシそろえ待つ日の出 大阪府 桂ふみこ
(地の句) 妻の目の代わりになって鍋を買う 宮崎県 矢野侑三
(天の句) 喪が明けてポツンと母の割烹着 大阪府 山本 進
題:「日用品」(詠込み不可) (中川由希子 選)
(人の句) シャンプーにお湯を注いで使い切る 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 散歩中百均見入り一万歩 兵庫県 平井美幸
(天の句) 割れなんだ対の茶碗が宝物 京都府 堀田順一
題:「借金」 (昌彦 選)
(人の句) 借金が何だと酔いの太っ腹 東京都 安藤幸雄
(地の句) 借金ができた今日だけ空青く 東京都 山口テツオ
(天の句) 人徳か寸借ばかり頼まれる 滋賀県 結城ゆかり
[今月の秀句](2022年)
■12月
題:「空白」 (航太郎 選)
(人の句) 空白に慣れて寂しい一周忌 大阪府 伊藤茂樹
(地の句) 思い出は空白埋める処方箋 東京都 中丸仁
(天の句) 空白が瞬時に埋まるクラス会 福岡県 松延太郎
題:「読書」 (禮子 選)
(人の句) 良い本と巡り合いたい青春期 大阪府 島尾政男
(地の句) 指が目になってすらすら本を読む 大阪府 三宅景子
(天の句) 太宰を読むそんな十五の反抗期 神奈川県 池田あせび
題:「読書」 (島尾政男 選)
(人の句) 読書から未知の世界が見えてくる 東京都 小野里 進
(地の句) 漱石に教わりましたプロポーズ 和歌山県 北口 豊
(天の句) 押し花が次の頁を待っている 兵庫県 中川由希子
題:「暗い」 (進 選)
(人の句) 妻が逝く広くて暗い台所 兵庫県 平井美幸
(地の句) 両親のまたいがみ合い昼の闇 東京都 安藤幸雄
(天の句) 提灯をかざし明日へ歩き出す 和歌山県 北口 豊
■11月
題:「タイム」 (航太郎 選)
(人の句) まったりと過ごす大事なロスタイム 大阪府 桂ふみこ
(地の句) タイムラグあって円満夫婦です 福岡県 廣渡憲峰
(天の句) 秒読みへピシッと駒音が決まる 大阪府 山本 進
題:「描く」 (すゑ子 選)
(人の句) 自画像の目鼻をちょっと整える 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 九分九厘妻のシナリオ通りです 京都府 高野末次
(天の句)いいことがあってやさしい眉を描く 兵庫県 山口昌彦
題:「描く」 (平井美幸 選)
(人の句) 人物画リアルに描けば嫌がられ 神奈川県 浅井 進
(地の句) 自画像が綾瀬はるかに似てしまい 大阪府 北村芳昭
(天の句) 大皿に季節を描くおもてなし 大阪府 吉田禮子
題:「ひとつ」 (昌彦 選)
(人の句) くり御飯ひとつひとつに手間かけて 大阪府 中野町子
(地の句) 山ひとつ越えて足音軽くなる 福岡県 松延太郎
(天の句) 角ひとつつ取れた気がする手術後 兵庫県 平井美幸
■10月
題:「顔」 (航太郎 選)
(人の句) わたくしの顔はわたくしの履歴書 大阪府 山本 進
(地の句) 顔分かる名前分からぬ三日間 大阪府 北村芳昭
(天の句) 俳優の見たくなかった別の顔 兵庫県 平井美幸
題:「エール」 (かずよ 選)
(人の句) 運動会ひときわ目立つ父の声 兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) エールより仕送り欲しい危機の僕 大阪府 北村芳昭
(天の句) 少しだけ塩を加えて子にエール 福岡県 廣渡憲峰
題:「エール」 (安藤幸雄 選)
(人の句) エールにまじり野次のおもろい甲子園 大阪府 北村芳昭
(地の句) 歩き出せ自分にエール三幕目 神奈川県 池田あせび
(天の句) ガンバッテー遍路にエール園児達 神奈川県 池田あせび
題:「疲れる」 (進 選)
(人の句) 指のたこお疲れ様と撫でてやる和歌山県 北口 豊
(地の句) 疲れたら休みんしゃいな明日がある 広島県 佐藤行伸
(天の句) やることが無くて疲れる腕枕 兵庫県 山口昌彦
■9月
題:「再び」 (航太郎 選)
(人の句) 来世でも父母の子として生まれたい 沖縄県 田中愛子
(地の句) 華やかな過去など知らぬ再生紙 福岡県 三小田静男
(天の句) 読み返すたびに発見ある名著 兵庫県 濱田すゑ子
題:「楽しみ」 (進 選)
(人の句) お風呂場に響く十八番の流行歌 福岡県 松延太郎
(地の句) 年金日昼から向かう串カツ屋 兵庫県 平井美幸
(天の句) デイサービスおしゃべり弾むティータイム 兵庫県 南 美千代
題:「楽しみ」 (高野末次 選)
(人の句) 今日の日が楽しかったと書いておこ 三重県 小川正次
(地の句) ラジオからレシピ覚えて新メニュー 大阪府 嶋村幸子
(天の句) お母さん三時のおやつ今日は何 大阪府 日本松啓二
題:「とける」 (昌彦 選)
(人の句) ごめんねの一言怒り解けていく 大阪府 吉田禮子
(地の句) アイス買いとける不安に急ぎ足 広島県 手良西萬里子
(天の句) 再検査疑い解けてけちになる 大阪府 熊内茂生
■8月
題:「えんぴつ」 (航太郎 選)
(人の句) 鉛筆が小さくなって誇らしげ 和歌山県 北口 豊
(地の句) 鉛筆が尖ったままで締切日 京都府 高野末次
(天の句) えんぴつを綺麗に削るテスト前 大阪府 横山益世
題:「濃い」[濃い薄いの濃い) (すゑ子 選)
(人の句) 鈍行に乗り換え景色濃く見えた 東京都 小野里 進
(地の句) 悩んでも先祖代々濃ゆい眉 兵庫県 平井美幸
(天の句) 敗色が濃くても粘る球児たち 兵庫県 山口みゆき
題:「濃い」[濃い薄いの濃い) (山口みゆき 選)
(人の句) 老妻といたわりあって濃い絆 兵庫県 山田明
(地の句) 濃い出汁がうまくしている母の味 大阪府 堀切艶子
(天の句) 濃い文字で書いた妻への感謝状 福岡県 廣渡憲峰
題:「ポケット」 (進 選)
(人の句) ポケットにいつも飴ちゃん大阪や 大阪府 日本松啓二
(地の句) ポケットから銀座の名刺どうしよう 東京都 小柴恭男
(天の句) ポケットにあの日の風があるスーツ 東京都 山口テツオ
■7月
題:「修理」 (航太郎 選)
(人の句) 夫婦仲ケーキを買って補修する 兵庫県 山口昌彦
(地の句) エアコンが修理頼むと喘いでる 福岡県 三小田静男
(天の句) 修理していたわりあって老い二人 福岡県 松延太郎
題:「色」(色彩の色) (かずよ 選)
(人の句) レインボーに込める差別がない明日 兵庫県 南 美千代
(地の句) 孫が来たたちまち部屋が虹色に 兵庫県 平井美幸
(天の句) 焼き上がり鼻で見ているキツネ色 和歌山県 北口 豊
題:「色」(色彩の色) (熊内茂生 選)
(人の句) 色を読む香りくんくん夏の花 大阪府 小倉 英
(地の句) 気が多く色を無くした赤い糸 埼玉県 荒金弘子
(天の句) 十八の赤いルージュが大人ぶる 滋賀県 結城ゆかり
題:折句「あ・す・か」 (進 選)
(人の句) 足跡を少し残して会社去る 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 雨の日はすっきりしよう髪切ろう 宮崎県 高田澄代
(天の句) ありふれた筋書き通り枯れてゆく 京都府 高野末次
■6月
題:「約束」 (航太郎 選)
(人の句) 約束を守り深めていく絆 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 指切りのパパのきっとが頼りない 埼玉県 五十嵐静子
(天の句) ハチ公もハラハラしてる待ち合わせ 福岡県 三小田静男
題:「約束」 (会員による互選)
(人の句) 来世では他人と妻に念押され 兵庫県 南 美千代
(地の句) ハチ公もハラハラしてる待ち合わせ 福岡県 三小田静男
(天の句) 約束の延期を悔やむ友の通夜 兵庫県 平井美幸
題:「結婚」 (禮子 選)
(人の句) 新婚に周りの風が柔らかい 兵庫県 山口昌彦
(地の句) ハラハラがいつの間にやら決まる縁 大阪府 本田富子
(天の句) 金婚式二人でそっと祝うだけ 京都府 高野末次
題:「結婚」 (廣渡憲峰 選)
(人の句) 知床の海に眠ったプロポーズ 兵庫県 伊藤節代
(地の句) 披露宴三年延びて子が二人 埼玉県 荒金弘子
(天の句) 泣き笑いかさね金婚夫婦坂 大阪府 吉田禮子
題:「卒業」 (昌彦 選)
(人の句) 追っかけを卒業すれば家が建つ 兵庫県 平井美幸
(地の句) 卒業式ビデオ撮る手が震えてる 兵庫県 伊藤節代
(天の句) 何一つ卒業できぬまま八十路 京都府 高野末次
■5月
題:「行列」 (航太郎 選)
(人の句) 焼香にやはりと思う長い列 福岡県 三小田静男
(地の句) 列なして襲う値上げに音を上げる 大阪府 山本 進
(天の句) 行列のお店になってから疎遠 兵庫県 濱田すゑ子
題:「招く」 (すゑ子 選)
(人の句) 歩け歩け健康招くスニーカー 大阪府 吉田禮子
(地の句) 海が呼ぶ八十路再び一人旅 兵庫県 中川由希子
(天の句) 悶着を招く本音にマスクする 滋賀県 結城ゆかり
題:「招く」 (小森 弘 選)
(人の句) にこやかに手招きされて聞く小言 兵庫県 平井美幸
(地の句) 御呼ばれは孫のままごとだけとなり 東京都 安藤幸雄
(天の句) 悶着を招く本音にマスクする 滋賀県 結城ゆかり
題:「柱」 (昌彦 選)
(人の句) しがみ付き箸に抗う貝柱 福岡県 三小田静男
(地の句) 床柱背に座らされ面はゆい 兵庫県 村上守
(天の句) 電柱の陰で見守る新学期 兵庫県 濱田すゑ子
■4月
題:「味方」 (航太郎 選)
(人の句) ポジティブが私の見方してくれる 兵庫県 中川由希子
(地の句) 神様は味方せぬのかウクライナ 福岡県 三小田静男
(天の句) 金だけが味方だなんて淋しいね 京都府 高野末次
題:「最後」 (かずよ 選)
(人の句) 鳩時計寿命尽きたと不意に鳴き 福岡県 廣渡憲峰
(地の句) すり減った靴と迎える定年日 兵庫県 山口昌彦
(天の句) びりでいい走り切れたらそれでいい 兵庫県 濱田すゑ子
題:「最後」 (三小田静男 選)
(人の句) 老夫婦これが最後と買う車 滋賀県 大谷忠正
(地の句) この犬で次は飼わない砂時計 滋賀県 結城ゆかり
(天の句) ほんとかなこれが最後と煙吐く 兵庫県 平井啓一
題:「周囲」 (進 選)
(人の句) 周囲なら五十メーターある我が家 宮崎県 矢野侑三
(地の句) 咳込んで視線を浴びるコンサート 京都府 榎本剛
(天の句) 世界の目釘付けにするウクライナ 兵庫県 濱田すゑ子
■3月
題:「ずれ」 (航太郎 選)
(人の句) しとやかな仮面がズレる飲みっぷり 福岡県 三小田静男
(地の句) あなたならずれずに唄う二重唱 大阪府 堀切艶子
(天の句) 千代紙のずれは問わない夫婦雛 滋賀県 結城ゆかり
題:「多い」 (禮子 選)
(人の句) 団塊は人の多さに慣らされた 大阪府 堀切艶子
(地の句) 情報が多くて上手く泳げない 福岡県 廣渡憲峰
(天の句) 喜びも愁いも刻む母の皺 兵庫県 山口昌彦
題:「繰り返す」 (昌彦 選)
(人の句) 未練など無い無い無いと言い聞かせ 京都府 高野末次
(地の句) あばばのばあ孫の笑いに何度でも 大阪府 熊内茂生
(天の句) 語るたび値打ちを下げる武勇伝 兵庫県 平井美幸
題:「繰り返す」 (桂ふみこ 選)
(人の句) 語るたび値打ちを下げる武勇伝 兵庫県 平井美幸
(地の句) 失敗を重ねて幹が太くなる 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 迷ったら母の手紙を読み返す 兵庫県 濱田すゑ子
■2月
題:「にらむ」 (航太郎 選)
(人の句) お嬢さん睨まんといて僕ちゃうで 兵庫県 村上 守
(地の句) 睨まれて見つめられたと思い込み 宮崎県 矢野侑三
(天の句) 睨まれて昨夜の餃子思い出す 大阪府 熊内茂生
題:「メガネ」 (すゑ子 選)
(人の句) あの世まで覗き見したい遠眼鏡 兵庫県 山口みゆき
(地の句) 虫眼鏡無しでは読めぬ但し書 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 捨てがたいメガネ私の歴史です 大阪府 中野町子
題:「メガネ」 (島尾政男 選)
(人の句) メガネでも心の奥はのぞけない 広島県 手良西萬里子
(地の句) メガネ付けメガネ探して大騒ぎ 大阪府 高里道子
(天の句) ちょっと僕変えて見たくて伊達メガネ 兵庫県 濱田すゑ子
題:「犬」 (進 選)
(人の句) 子犬を迎え新しい風吹く我が家 兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) 愛されるのもお仕事ですとマルチーズ 京都府 高野末次
(天の句) 浄土かとポチをつねった冬茜 兵庫県 平井美幸
■1月
題:「引っ張る」 (航太郎 選)
(人の句) 終息へ足を引っ張るオミクロン 兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) 米中の引っ張り合いで裂ける地図 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 引っ張られたまに引っ張り五十年 兵庫県 上田進久
題:「引っ張る」 (会員による互選)
(人の句) 得意げに手引き覚えた小さな手 大阪府 日本松啓二
(地の句) ほほ笑みが引っ張ってくる人の縁 大阪府 中島千恵
(天の句) いつまでも昭和引っぱる石頭 東京都 小野里 進
題:「豪快」 (昌彦 選)
(人の句) 肩越しでタテミツつかみ吊り上げる 京都府 榎本 剛
(地の句) 思い出の詰まった家をショベルカー 兵庫県 山口みゆき
(天の句) 大皿のてっさ一気にまとめ食い 兵庫県 曽余田かずよ
題:「コミュニケーション」(詠込み不可) (進 選)
(人の句) 血が通う言葉もほしい聞く力 福岡県 小森 弘
(地の句) ねぎらいを交わす二人に除夜の鐘 東京都 安藤幸雄
(天の句) 補聴器を外して聞こうその話 大阪府 長宅栄美子
題:「コミュニケーション」(詠込み不可) (山口みゆき 選)
(人の句) 羊羹で家族励ます母卒寿 兵庫県 平井美幸
(地の句) 温泉で父と息子は流し合う 大阪府 青田和代
(天の句) 補聴器を外して聞こうその話 大阪府 長宅栄美子
[今月の秀句](2021年)
■12月
題:「気まずい」 (航太郎 選)
(人の句) 赤信号渡れば睨む幼児の目 大阪府 熊内茂生
(地の句) 向こうから同柄の服やって来る 京都府 榎本 剛
(天の句) 諍いのあとの気まずさ猫を呼ぶ 愛媛県 松浦常子
題:「ぶつかる」 (かずよ 選)
(人の句) 足と足こたつで陣地奪い合い 兵庫県 南 美千代
(地の句) ぶつかりの明け暮れ綱へでかい夢 東京都 安藤幸雄
(天の句) 知るためにぶつかり合って五十年 沖縄県 田中愛子
題:「ぶつかる」 (北村芳昭 選)
(人の句) ぶつかった壁が育てた突破力 大阪府 伊藤茂樹
(地の句) ことごとくぶつかった父まだ越せぬ 兵庫県 平井美幸
(天の句) ぶつかって部屋に籠るは父の方 東京都 安藤幸雄
題:「幻」 (進 選)
(人の句) まぼろしの幸せ求めニューヨーク 兵庫県 上田進久
(地の句) 幻だこんなにもてるはずがない 兵庫県 高瀬静嗣
(天の句) 初恋が青いグラスに消えていく 大阪府 長宅栄美子
■11月
題:「ごめん」 (航太郎 選)
(人の句) ごめんねは日々の暮らしの潤滑油 兵庫県 守護和也
(地の句) 夫婦でも隠すごめんの二つ三つ 埼玉県 荒金弘子
(天の句) お父ちゃん待たせて御免まだ逝けぬ 滋賀県 結城ゆかり
題:「苦い」 (禮子 選)
(人の句) 孫の指す王手の駒に苦笑い 大阪府 熊内茂生
(地の句) 歳月が隠してくれた苦い過去 福岡県 三小田静男
(天の句) 借金の話でしたか茶が苦い 福岡県 廣渡憲峰
題:「苦い」 (島尾政男 選)
(人の句) ほろ苦い恋の行方を知るベンチ 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 苦虫を噛んで潰した思案顔 兵庫県 村上 守
(天の句) 借金の話でしたか茶が苦い 福岡県 廣渡憲峰
題:「目立つ」 (進 選)
(人の句) イヤリングそっと外した参観日 大阪府 桂 ふみこ
(地の句) あの星は目立ちたがりの親父だな 大阪府 北村芳昭
(天の句) 幸せが膨らんでいくマタニティー 兵庫県 山口昌彦
■10月
題:「ゆっくり」 (航太郎 選)
(人の句) ゆっくりと新聞めくる日曜日 兵庫県 山口昌彦
(地の句) ゆっくりと何度も言ってせかす嫁 東京都 中丸 仁
(天の句) 鼻歌が流れてきたら長湯だよ 大阪府 横山益世
題:「スイッチ」 (昌彦 選)
(人の句) スイッチを切り替え目指すパリ五輪 兵庫県 山口みゆき
(地の句) よっこいしょスイッチ入れて立ち上がる 三重県 小川正次
(天の句) 里帰りスイッチ入る国訛り 福岡県 三小田静男
題:「スイッチ」 (榎本 剛 選)
(人の句) 大笑いスイッチはいり止まらない 愛媛県 高山潮美
(地の句) イヤリングつけて女にもどる朝 奈良県 柳本恵子
(天の句) スイッチは背中押されて入るもの 神奈川県 清水秀雄
題:「つまむ」 (進 選)
(人の句) つまみ食いお料理だけにしましょうね 兵庫県 高瀬静嗣
(地の句) 甘ったれた男だ塩を一つまみ 大阪府 吉田禮子
(天の句) こら待てよつまんでやるぞミニトマト 三重県 小川正次
■9月
題:「黙々」 (航太郎 選)
(人の句) 黙々と観音様を彫っている 大阪府 島尾政男
(地の句) ラジオ聴き黙々食べる独り鍋 京都府 榎本 剛
(天の句) 黙々と断捨離の手がふと止まる 兵庫県 伊藤節代
題:「ふるさと」 (かずよ 選)
(人の句) 甲子園球児が起こす郷土愛 福岡県 松延太郎
(地の句) ふるさとに預けたままの志 大阪府 田川里香
(天の句) 兄嫁に世辞のひとつも里帰り 東京都 安藤幸雄
題:「ふるさと」 (安藤幸雄 選)
(人の句) 転勤で行く先々がふるさとに 大阪府 高里道子
(地の句) ふるさとを二つに分けた選挙戦 大阪府 島尾政男
(天の句) ふるさとの母は知らない白い杖 大阪府 橋本富雄
題:「文句」 (進 選)
(人の句) ワクチンをうって文句を言う元気 兵庫県 上田進久
(地の句) 文句なら笑顔の底にしずめます 広島県 手良西萬里子
(天の句) いいさねが叔母の素敵な決め文句 沖縄県 田中愛子
■8月
題:「ストーリー」 (航太郎 選)
(人の句) 古希過ぎて一年毎がドラマです 大阪府 堀切艶子
(地の句) 百人の履歴書百のストーリー 大阪府 山本 進
(天の句) 自分史の余白にアナザストーリー 福岡県 廣渡憲峰
題:「ストーリー」 (会員による互選)
(人の句) 自分史に書くに書けない過去もある 三重県 小川明美
(人の句) ありがとうで締めたい僕の物語 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 平凡な妻を演じて半世紀 大阪府 辻井敏子
天の句) アルバムが語る家族の物語 兵庫県 山口昌彦
題:「照らす」 (禮子 選)
(人の句) 九条に照らせば違憲ではないか 大阪府 山本 進
(地の句) 記者の目が政治の闇を照らし出す 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 満月が案内人を買って出る 京都府 榎本 剛
題:「照らす」 (廣渡憲峰 選)
(人の句) つなぐ手に月も微笑む老夫婦 兵庫県 平井美幸
(地の句) 人の世を照らす一句に膝を打つ 大阪府 熊内茂生
(天の句) 廃校を憐れみ夕陽赤く染め 東京都 安藤幸雄
題:「正面」 (進 選)
(人の句) 鬼の顔横から見れば仏にも 兵庫県 伊藤節代
(地の句) ひまわりは母の面影凛と咲く 大阪府 長宅栄美子
(天の句) 正面のラッパ庶民に響かない 滋賀県 結城ゆかり
■7月
題:「真っ暗」 (内藤憲彦 選)
(人の句) 鉢合わせ蛸が墨吐き逃げて行く 大阪府 本田富子
(地の句) 真っ暗の中で夫は光る星 大阪府 堀切艶子
(天の句) 夢がありゃ真っ暗闇じゃありません 宮崎県 矢野侑三
題:「びくびく」 (山口昌彦 選)
(人の句) 午前様こっそりしのびこむ寝床 大阪府 三宅景子
(地の句) 承諾書山ほど書いて待つ手術 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 怖いけど入試の結果見なければ 埼玉県 湯澤廣美
題:「びくびく」 (堀切艶子 選)
(人の句) 台風にびくびくしてるトタン屋根 大阪府 橋本富雄
(地の句) テレワークデスクのビール映ったか 兵庫県 守護和也
(天の句) 目の前へ黙って妻が正座する 大阪府 山本 進
題:「穴」(墓穴の穴) (山本進 選)
(人の句) おじいちゃん孤独の穴に住んでいる 兵庫県 南 美千代
(地の句) 砂風呂へ首だけ出してへんてこな 宮崎県 高田澄代
(天の句) どうしましょ穴から夢がこぼれます 奈良県 柳本恵子
■10周年記念誌上川柳大会(2021年5月) 参加者 95人
題:「頑張る」 小野雅美 選(川柳塔すみよし)
(人の句) 頑張って生きたと言えるよう生きる 大阪府 吉道あかね
(地の句) 前線で頑張る医者の使命感 大阪府 島尾政男
(天の句) 僕は見た戦後の母のたくましさ 東京都 小野里 進
題:「とうとう」 銭谷まさひろ 選(堺番傘川柳会)
(人の句) 迷いから抜けたか亀も動き出す 大阪府 柴田桂子
(地の句) すべてを受け入れたガンガーの流れ 大阪府 岸井ふさゑ
(天の句) 堪忍なとうとう告知出来なくて 滋賀県 結城ゆかり
題:「あっと言う間」(詠込み不可) 居谷真理子 選(川柳塔社)
(人の句) 初デート二人一緒にいた時間 東京都 中丸 仁
(地の句) ばあさんとじいさんになる知らぬ間に 大阪府 吉道あかね
(天の句) もう出口とても愛しい道だった 京都府 高橋レニ
題:「プラス」 澤井敏治 選(川柳塔さかい)
(人の句) 句読点加えて文章が弾む 大阪府 山本 進
(地の句) 幸せを足し算にして生きていく 愛媛県 松浦常子
(天の句) ごめんねの後に笑顔のありがとう 京都府 高橋レニ
題:「塔」(金字塔の塔) 古今堂蕉子 選(川柳塔すみよし)
(人の句) 電波塔届けておくれ恋心 大阪府 桂 ふみこ
(地の句) 二刀流球史に刻む金字塔 大阪府 島尾政男
(天の句) コロナ禍に通天閣が眠れない 大阪府 澤井敏治
題:「目」(目玉の目) 吉道航太郎 選(柳都川柳社)
(人の句) 目の前にある幸せに気付けない 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 目の中に入れたら痛い孫がいる 大阪府 橋本富雄
(天の句) 大切なものほど目では見られない 奈良県 山田恭正
■5月
題:「無理やり」 (航太郎 選)
(人の句) 相性が良いと無理やり薦められ 大阪府 加口久美子
(地の句) 何かある無理やりに聞く親の勘 大阪府 吉田禮子
(天の句) 残りもの食べてくれたら洗えます 宮崎県 矢野侑三
題:「計算」 (かずよ 選)
(人の句) 票読みをしてから図る多数決 大阪府 熊内茂生
(地の句) 家計簿が寿命の予想聞いてくる 兵庫県 平井美幸
(天の句) 言い分を四捨五入して仲直り 滋賀県 結城ゆかり
題:「計算」 (熊内茂生 選)
(人の句) 言い分を四捨五入して仲直り 滋賀県 結城ゆかり
(地の句) 皿の色計算しつつ食べる寿司 大阪府 北村芳昭
(天の句) ワンピース脚を綺麗に見せる丈 兵庫県 曽余田かずよ
題:折句「も・や・い」 (進 選)
(人の句) もう一度やり直そうか今は雨 大阪府 加口久美子
(地の句) もやしだけ安い肉でも入れてえな 滋賀県 結城ゆかり
(天の句) もじもじをやんややんやが急がせる 大阪府 加口久美子
■4月
題:「駅」(駅伝の駅) (航太郎 選)
(人の句) 知らぬ土地駅員さんのエスコート 大阪府 三宅景子
(地の句) 爽やかにスタートしたい朝の駅 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) わたくしのドラマ知ってる里の駅 兵庫県 平井美幸
題:「郵便」 (禮子 選)
(人の句) 見えずとも手書きの手紙頬緩む 大阪府 中島千恵
(地の句) こんなのが宝に化ける古切手 兵庫県 山口みゆき
(天の句) 今日からは独りじゃないね点字便 滋賀県 結城ゆかり
題:「郵便」 (三小田静男 選)
(人の句) 便箋の色にも託すメッセージ 京都府 高野末次
(地の句) 絵手紙に季の移ろいを告げられる 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 金釘も人柄滲む年賀状 福岡県 小森 弘
題:「サイズ」 (進 選)
(人の句) フリーサイズ私の強い味方です 沖縄県 田中愛子
(地の句) 物差しのサイズが違う夫婦です 大阪府 桂 ふみこ
(天の句) これでいい手の平サイズの幸せ 兵庫県 高瀬静嗣
■3月
題:「チョコレート」 (航太郎 選)
(人の句) 金婚は義理のチョコから始まった 福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 本命に義理チョコだねと念押され 大阪府 北村芳昭
(天の句) 義理チョコにだって序列がついている 兵庫県 山口昌彦
題:「贈る」(贈答品の贈) (昌彦 選)
(人の句) 球根に楽しみ添えて贈ります 大阪府 加口久美子
(地の句) 仏前に今日はハートのチョコを置く 大阪府 桂 ふみこ
(天の句) 春用に妻へ贈ろうスニーカー 大阪府 北村芳昭
題:「贈る」(贈答品の贈) (濱田すゑ子 選)
(人の句) 贈り物少しは見栄も入ります 沖縄県 田中愛子
(地の句) この出会い素敵な神の贈り物 兵庫県 山口みゆき
(天の句) その人の個性が光る贈り物 大阪府 日本松啓二
題:「積極的」 (進 選)
(人の句) とりあえず手を挙げてから考える 東京都 山口テツオ
(地の句) あの時のひと押しあって妻がいる 兵庫県 山田 明
(天の句) 残された命死ぬまで生きてやる 大阪府 堀切艶子
■2月
題:「転がる」 (航太郎 選)
(人の句) 木枯らしの缶蹴り冬のオペレッタ 京都府 高野末次
(地の句) 思いやるこころ育てた七転び 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 幸せは転んだ先にだってある 兵庫県 濱田すゑ子
題:「転がる」 (小森 弘 選)
(人の句) 世渡りは強いお方に転がって 大阪府 吉川義男
(地の句) 認知症記憶転がり何処行った 滋賀県 大谷忠正
(天の句) 避難所の床に転がる長い夜 兵庫県 山口みゆき
題:「地図」 (かずよ 選)
(人の句) 俺の地図時々妻が書き換える 大阪府 桂 ふみこ
(地の句) 空いっぱい君と描きたい未来地図 大阪府 吉田禮子
(天の句) 勢力地図ポチは僕より上らしい 兵庫県 山口昌彦
題:「地図」 (会員による互選)
(人の句) 地図を見て夢がふくらむ転居先 東京都 小野里 進
(地の句) 大国のエゴが揺るがす世界地図 福岡県 三小田静男
(天の句) 俺の地図時々妻が書き換える 大阪府 桂 ふみこ
題:「めでたくもありめでたくもなし」(前句付) (進 選)
(人の句) ライバルがこけて巡ってきた勝利 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 子沢山できの良いのも悪いのも 兵庫県 浅田美登里
(天の句) 長生きはチョット遠慮の誕生日 兵庫県 山田 明
■1月
題:「師走の風景」(詠込み不可) (航太郎 選)
(人の句) お歳暮が届き始めたお隣に 滋賀県 大谷忠正
(地の句) 妻の手に指揮棒暮れの大掃除 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 呼び声がしゃがれて暮れの店となる 東京都 安藤幸雄
題:「ぎりぎり」 (禮子 選)
(人の句) 見えそうで見えない物に心燃え 大阪府 三宅景子
(地の句) 介護する気力支える父の笑み 大阪府 熊内茂生
(天の句) カド番を抜け出す意地の上手投げ 福岡県 三小田静男
題:「仕度」 (進 選)
(人の句) 真中に帯が据わって仕度上げ 東京都 安藤幸雄
(地の句) 止まらない涙で母の旅支度 大阪府 福園多恵子
(天の句) なあお前ボツボツ遺影撮らへんか 広島県 佐藤行伸
題:「仕度」 (橋本富雄 選)
(人の句) 地団駄を踏んでいらちが仕度待つ 東京都 安藤幸雄
(地の句) 正月が来れば書き足す遺言書 東京都 山口テツオ
(天の句) 蜘蛛の糸切れないように善を積む 滋賀県 結城ゆかり
[今月の秀句](2020年)
■12月
題:「元気」 (航太郎 選)
(人の句) 大物になるぞでっかい産声だ 大阪府 山本 進
(地の句) お互いに元気分け合う患者会 兵庫県 曽余田かずよ
(天の句) 元気かと案じてくれる人がいる 兵庫県 山口みゆき
題:「電話」 (昌彦 選)
(人の句) 電話口余所行きの声お母さん 大阪府 堀切艶子
(地の句) 十円玉いっぱい持って長電話 大阪府 橋本富雄
(天の句) 口実の受話器が重いずる休み 滋賀県 結城ゆかり
題:「電話」 (島尾政男 選 )
(人の句) 留守電に優しい母が生きている 大阪府 長宅栄美子
(地の句) スマートフォン置いて子供と糸電話 東京都 山口テツオ
(天の句) 十円玉いっぱい持って長電話 大阪府 橋本富雄
題:「田」(田んぼの田) (進 選)
(人の句) 後継のない田を独り耕して 大阪府 北村芳昭
(地の句) 今は昔ここには稲がありました 広島県 佐藤行伸
(天の句) 休耕田飢えたあの日を忘れまい 滋賀県 結城ゆかり
■11月
題:「道」(道路の道) (航太郎 選)
(人の句) 番菜を買い主婦になる帰り道 大阪府 吉田禮子
(地の句) 辿るまい軍靴の響く道だけは 大阪府 北村芳昭
(天の句) 平坦な道を勧める親心 兵庫県 山口みゆき
題:「道」(道路の道) (松浦英夫 選)
(人の句) 道端の子猫に声をかけられて 大阪府 岩城豊恵
(地の句) けものみち白杖突いてさあ勝負 広島県 佐藤行伸
(天の句) 軟派かと思えば道を尋ねられ 兵庫県 浅田美登里
題:「溢れる」 (かずよ 選)
(人の句) 溢れ出る知性にちらり傲慢さ 福岡県 小森 弘
(地の句) 詰め放題欲も一緒に溢れてる 大阪府 吉田禮子
(天の句) 蛇口から今日の幸せほとばしる 大阪府 山本 進
題:「舞台」 (進 選)
(人の句) 今日という舞台を終えた電車内 東京都 山口テツオ
(地の句) さあ明日は人生二幕靴磨く 東京都 安藤幸雄
(天の句) 辛うじて今日の私を演じ切る 京都府 高野末次
■10月
題:「叫ぶ」 (航太郎 選)
(人の句) 蓋から漏れてくる香港の叫び 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 理不尽を空に叫んで下山する 大阪府 桂 ふみこ
(天の句) 壊すなと大地が叫ぶ海叫ぶ 愛媛県 松浦常子
題:「ゴール」 (禮子 選)
(人の句) 肉じゃがが胃袋つかみゴールイン 兵庫県 中川由希子
(地の句) 消しゴムで消してはゴール低くする 大阪府 熊内茂生
(天の句) ダイエット目指す五キロにファンファーレ 大阪府 長宅栄美子
題:「病」 (進 選)
(人の句) 年ですねこの頃医者のそっけなさ 東京都 小野里 進
(地の句) すとんと落ちる夕陽のように父は病む 大阪府 熊内茂生
(天の句) 飛行機雲余命わずかの友思う 兵庫県 中川由希子
題:「病」 (松浦常子 選)
(人の句) すとんと落ちる夕陽のように父は病む 大阪府 熊内茂生
(地の句) 闘病記本音も嘘も混ぜてある 大阪府 島尾政男
(天の句) 心痛の事件社会が病んでいる 大阪府 伊藤茂樹
■9月
題:「そっくり」 (吉道航太郎 選)
(人の句) 民主主義のまがいが大手振っている 東京都 安藤幸雄
(地の句) 値札見て初めて気付くまがい物 兵庫県 山口昌彦
(天の句) 風船を並べたような親子です 宮崎県 矢野侑三
題:「わずか」 (吉道あかね 選)
(人の句) わずかでも大き目選ぶ主婦の性 兵庫県 浅田美登里
(地の句) 打ち水で気休めほどの涼を得る 兵庫県 中川由希子
(天の句) わずかでも値切る楽しみ蚤の市 大阪府 福園多恵子
題:「わずか」 (小森 弘 選)
(人の句) わずかだが孫に伝えることがある 兵庫県 上田進久
(地の句) 打ち水が僅かに地球喜ばす 福岡県 三小田静男
(天の句) てにをはを替えて文章光り出す 大阪府 山本 進
題:「朝」 (銭谷まさひろ 選)
(人の句) 人並みの豊かさ朝のたまご焼き 福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 老い支度済ませて朝が透き通る 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) コケコッコーの声から朝が立ち上がる 大阪府 山本 進
題:「朝」 (会員による互選)
(人の句) 足音を忍ばせ作る朝ごはん 大阪府 中野町子
(地の句) 名案を朝の枕が捻り出す 大阪府 伊藤茂樹
(天の句) おかわりについ手が伸びる旅の朝 大阪府 三宅景子
■8月
題:「ちょちょいのちょい」(詠込み不可) (航太郎 選)
(人の句) 壊れたらいつも直してくれた父 大阪府 本田富子
(地の句) 年の功絡んだ糸もサッと解き 東京都 小野里 進
(天の句) レトルトのチンで食卓花盛り 大阪府 北村芳昭
題:「ちょちょいのちょい」(詠込み不可) (高田澄代 選)
(人の句) 来年こそ手拍子合わせ盆踊り 兵庫県 南 美千代
(地の句) 舌先で老後の資金搦め捕る 大阪府 山本 進
(天の句) PCRもっと手早くやってんか 大阪府 横山益世
題:「最高」 (あかね 選)
(人の句) 一分の祝辞最高大拍手 福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 最高はその気にさせる褒め言葉 福岡県 小森 弘
(天の句) 最高はあなたの笑顔ありがとう 広島県 佐藤行伸
題:「走る」 (進 選)
(人の句) おばちゃんは四輪駆動突っ走る 大阪府 吉川義男
(地の句) 夕焼けに今もかけっこ誘われる 兵庫県 平井美幸
(天の句) 雨止んで空の広さを突っ走る 兵庫県 上田進久
■7月
題:「ボトル」 (航太郎 選)
(人の句) 空にしてお別れしましょロゼワイン 大阪府 山本 進
(地の句) コロナ禍がボトルネックになる五輪 福岡県 松延太郎
(天の句) ボトルキープちょっと大人の仲間入り 兵庫県 曽余田かずよ
題:「ノート」 (あかね 選)
(人の句) 検温と血糖値だけ書くノート 京都府 榎本 剛
(地の句) 母の味ノートに書けぬ目分量 大阪府 桂 ふみこ
(天の句) 育児ノートどこを開けても子への愛 大阪府 吉田禮子
題:「好き」 (進 選)
(人の句) 花が好き散歩が好きで人が好き 大阪府 吉田禮子
(地の句) 空気のようになってしまった好きな人 大阪府 堀切艶子
(天の句) 好きでしたブウツの臭い嗅ぐまでは 大阪府 吉川義男
題:「好き」 (吉田禮子 選)
(人の句) 黒板の相合傘がはやし立て 京都府 榎本 剛
(地の句) 物好きな夫婦でひょっとことおかめ 大阪府 山本 進
(天の句) 言うことは言ったそんな私が好き 大阪府 能勢良子
■6月
題:「突然」(詠込み不可) (航太郎 選)
(人の句) ベランダに主婦が顔出すにわか雨 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 褒められて急にやる気が湧いて来る 大阪府 吉田禮子
(天の句) お別れは不意打ちでした雨でした 京都府 高野末次
題:「突然」(詠込み不可) (会員による互選)
(人の句) 陰口へぬっと顔出す影法師 大阪府 山本 進
(人の句) ぎっくり腰パンツを穿いただけやのに 兵庫県 中川由希子
(地の句) こと金になると無口が喋り出す 東京都 安藤幸雄
(天の句) 物忘れ思わぬ時に思い出し 福岡県 松延太郎
題:「場所」 (あかね 選)
(人の句) この家に居場所なくても亭主です 大阪府 吉川義男
(地の句) 台所胃袋つかむ腕振るう 兵庫県 中川由希子
(天の句) その時を家族と話す避難場所 大阪府 吉田禮子
題:「場所」 (中丸 仁 選)
(人の句) 戻る場所あるから好きにやれと母 大阪府 北村芳昭
(地の句) あの頃に引き戻される喫茶店 大阪府 三宅景子
(天の句) 居場所ある幸せ感じ感謝する 兵庫県 平井啓一
題:「ばらばら」 (進 選)
(人の句) 冷静だ安いお皿を割っている 兵庫県 山口昌彦
(地の句) コロナから命を守るてんでんこ 大阪府 山本正美
(天の句) 脱ぎ捨てて自分に戻る借り衣装 東京都 安藤幸雄
■5月
題:「幅」 (航太郎 選)
(人の句) 幅寄せの上手な妻の処世術 大阪府 山本正美
(地の句) 許し合う幅を拡げてルビー婚 大阪府 松浦英夫
(天の句) 生活の幅を拡げた好奇心 大阪府 島尾政男
題:「幅」 (曽余田かずよ 選)
(人の句) あきらめが私の歩幅楽にする 大阪府 能勢良子
(地の句) 許し合う幅を拡げてルビー婚 大阪府 松浦英夫
(天の句) 大幅にコロナ明日を書き替える 大阪府 山本 進
題:「こっち」 (あかね 選)
(人の句) こっちから覗いた先にあっちの目 福岡県 小森 弘
(地の句) こっちから口が迎えるコップ酒 大阪府 青田和代
(天の句) スーツよりこっちが似合う作業服 大阪府 熊内茂生
題:「準備」 (進 選)
(地の句) ひとつずつ捨てて自由になる準備 兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) 引き出しの我欲たたんで逝く準備 滋賀県 結城ゆかり
(天の句) その時のためにひたすら爪を研ぐ 和歌山県 北口 豊
■4月
題:「暮れる」 (航太郎 選)
(人の句) 楽しみを明日に残して日が暮れる 大阪府 吉田禮子
(地の句) ため息は暮れる夕陽に差し上げる 大阪府 桂 ふみこ
(天の句) 補聴器をはずして母の今日が暮れ 大阪府 吉川義男
題:「そっと」 (あかね 選)
(人の句) サービスとそっと出されて目でお礼 兵庫県 高瀬静嗣
(地の句) 祝辞にはそっと忍ばす虎の巻 東京都 小野里 進
(天の句) そっと抱きしっかり抱いて父になる 大阪府 桂 ふみこ
題:「そっと」 (会員による互選)
(人の句) そっと抱きしっかり抱いて父になる 大阪府 桂 ふみこ
(地の句) いびき止むそっと生死を確かめる 宮崎県 矢野侑三
(天の句) 故郷でそっと隠した白い杖 大阪府 橋本富雄
題:「濁る」 (雅美 選)
(人の句) 人知れず濁りも刻むシュレッダー 東京都 小野里 進
(地の句) 繊細な味を濁らすマヨネーズ 東京都 山口テツオ
(天の句) 汚染水海の悲鳴が聞こえぬか 大阪府 山本 進
題:「濁る」 (濱田すゑ子 選)
(人の句) 改竄の濁る政治を思案する 大阪府 嶋村幸子
(地の句) 濁点か半濁点かよう見えん 兵庫県 村上 守
(天の句) 激辛で濁す料理の下手加減 大阪府 吉川義男
■3月
題:「一番」 (航太郎 選)
(人の句) 若者よ一番だしをご存知か 大阪府 堀切艶子
(地の句) おしゃべりがここ一番に黙り込む 大阪府 松浦英夫
(天の句) 春一番吹いてコロナも飛んで行け 兵庫県 伊藤節代
題:「戻る」 (あかね 選)
(人の句) 戻れないだから咲きますこの場所で 大阪府 濱田康子
(地の句) 人間も干して戻せば味が出る 福岡県 三小田静男
(天の句) 水が出る元に戻ったありがたさ 大阪府 松浦英夫
題:「戻る」 (廣渡憲峰 選)
(人の句) 戻れないだから咲きますこの場所で 大阪府 濱田康子
(地の句) 赤ちゃんに戻った母の手を握る 兵庫県 南 美千代
(天の句) 振り出しに戻り素顔のままでいる 兵庫県 山口昌彦
題:「新聞」 (進 選)
(人の句) 如月というのに紙面には桜 大阪府 松浦英夫
(地の句) 馬鹿たれめ新聞小突く父の朝 兵庫県 南 美千代
(天の句) 新聞を開くとコロナ移りそう 大阪府 渡部ふみか
■2月
題:「包む」 (航太郎 選)
(人の句) 期待値を上げてしまったラッピング 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 悲しみを毛布に包み眠らせる 京都府 高橋レニ
(天の句) 喜怒哀楽包んで能面になった 大阪府 山本 進
題:「包む」 (山口昌彦 選)
(人の句) 抱き締めて共に泣くしかできなくて 大阪府 山本 進
(地の句) 帰り際包みが増える親の愛 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 包装紙わくわく開くプレゼント 大阪府 小倉 英
題:「いたずら」 (あかね 選)
(人の句) 還暦へいたずら心赤い髪 兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) ハイチーズ一秒ずらしありのまま 兵庫県 平井美幸
(天の句) いたずらに格差ばかりが広がる世 沖縄県 田中愛子
題:「着く」(辿り着くの着く) (進 選)
(人の句) プラごみの流れ着いてる海を見よ 兵庫県 平井啓一
(地の句) 飽食の老いて行き着く母の味 大阪府 熊内茂生
(天の句) 行き着けばお一人様と言う不安 兵庫県 濱田すゑ子
■1月
題:「自画自賛」(詠込み不可) (航太郎 選)
(人の句) 私って和服の似合う京美人 大阪府 橋本富雄
(地の句) どうしても作られへんわ不味い物 兵庫県 山口みゆき
(天の句) 自分史に推薦文を書きました 大阪府 山本 進
題:「富士」 (あかね 選)
(人の句) 北斎のの怒濤に富士が小さくなる 兵庫県 山口昌彦
(地の句) 穏やかな令和の富士の初暦 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 銭湯の富士を仰いでいた昭和 兵庫県 濱田すゑ子
題:「困ったこと」(詠込み不可) (進 選)
(人の句) どんな球投げても妻は打ち返す 福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 息抜きに出かけた妻が帰らない 大阪府 吉川義男
(天の句) もったいない気持ちに物が増えて行く 大阪府 吉田禮子
題:「困ったこと」(詠込み不可) (島尾政男 選)
(人の句) 温暖化四季の移ろい狂わせる 福岡県 三小田静男
(地の句) ワイシャツがカレーうどんを味見する 兵庫県 山口昌彦
(天の句) ごめんなさいその一言が言えなくて 大阪府 吉田禮子
RP−net川柳会「川柳 もやい傘」[2019年までの秀句]のページへ。
「RP−net川柳会」のご案内へ
趣味コーナーへ
JRPS大阪のトップへ